麻生太郎氏『とてつもない日本』を読む(2)


 麻生氏はアジアの中での日本は「ソートリーダー(Thought Leader)」であり、「アジアの実践的先駆者」であるという認識で、「日本の底力」を冷静な目で見ようとしている。

 さらに高齢化は麻生氏にかかると労働力パワーとなり、「格差感」も「なんとなく気が晴れない」ものとなる。地方の問題もその生き返りにより、むしろ地方の底力となり、日本の強さの一因となる。このように普通否定的に捉えがちな問題を前向きに、楽観的に考えていく点が麻生氏の特徴と言えよう。

 さらに外務大臣として外交の視点から、「麻生ドクトリン」として「価値の外交」と「自由と繁栄の弧」の持論(?)を提案している。

 麻生氏の言う「価値」とは、民主主義、平和、自由、人権、法の支配および市場経済のことで、これらの「普遍的価値」を重視して行う外交を麻生氏は「価値の外交」とよんでいる。
するものである。具体的には、日本から始まり韓国を含み「北東アジアから中央アジアコーカサス、トルコ、それから中・東欧にバルト諸国まで「自由と繁栄の弧」とな
 「自由と繁栄の弧」とはユニークで壮大な考え方であり、上記の「価値」を共有できると思われる、ユーラシア大陸の諸国をぐるりと弧を描いて一つの帯としてみようとる地域」(p.165.)の帯を考えているのである。このようなイメージの下で既に外交が展開されはじめているというのである。

 これらの外交方針の詳しい説明は『自由と繁栄の弧』と題する単行本で述べられている。

自由と繁栄の弧

自由と繁栄の弧

 とにかく日本人に自信を与え、ようやく大人の仲間入りをした日本人に対して、前向きにしてポジティブな考え方で、日本として分相応な言動と行動を、一歩一歩進めていこうと提案している本と言えようか。