『ロングテール』の第8章を精読してみた!!(1)

ロングテール―「売れない商品」を宝の山に変える新戦略

ロングテール―「売れない商品」を宝の山に変える新戦略

前にも取りあげた昨年翻訳されたクリス・アンダーソンの『ロングテール』の「第8章 ロングテール経済――不足の経済と80対20の法則の終焉」(Long Tail Economics: Scarcety, Abundance and the Death of the 80/20 Rule)を精読してみた。その過程で次のようなノートをとってみた。

パレートの法則」あるいは「80/20の法則」

80/20の法則は19世紀にV. パレート(スイス大学のイタリア人学者)の富と分布の研究から始まったとされている。パレートは、人口の20%が富の80%を所有しているという事実を発見した。このような関係は他の国や地域にも妥当したし、人口と富の関係ばかりでなく、さまざまなところで成立していることが後に確認されることとなった。この関係は彼の名前を冠して、「パレートの法則」あるいは「80/20の法則」と呼ばれた。パレート自身はこれを「バイタル・フューの法則(the Law of Vital Few)(「きわめて重要な少数の法則」とでもいえばよいか)」と呼んだそうである。

ジップの法則(Zipf's Law)」

この関係は20世紀に入って言語学者のG.ジップによっても発見された。言葉でよく使われるのは数少ない単語であり、ほとんどの単語は余り使われないということであった。この分野でもパレートの富の分布と同じ関係があることに気づいた。これを現代では「ジップの法則(Zipf’s Law)」と呼んでいる。(以上P. 161.-p. 162.より)

この研究の要は、べき法則分布、つまりパレートが発見した富の曲線の1/xの傾きが、どこにでも見られるということである(p.162.)

次の引用部分は、アンダーソンさん自身による指摘と思われるが、このような説明で充分かどうかは、ちょっと疑問が残った。(印象としてですが。)

消費者市場では、次の三つ条件がそろえばべき法則になる。

① 条件性(多種類のものが存在する)
② 不均等(ある点においてあるものが他のものよりまさっている)
③ 質の違いを増幅する口コミや評判のようなネットワーク効果」 (p. 162.)

「予測可能な不均衡(”predictable imbalance”)」とは面白い表現である。

このような場では、市場や文化や社会がパレートの言う「予測可能な不均衡」になる。成功が成功を呼ぶのだ。言うまでもなく、僕たちの世界は概ねそうなっている。(p. 163.)