1167772904**[『ウェブ進化論 』]『ウェブ進化論 』を改めて読み直してみた 第1章


「第1章 「革命」であることの真の意味」におけるキーワードは
オープンソース

「力の芽」
「過激な少数意見」
三大潮流
三大法則
「何ものにも似ていない」
などであろうか。

本章の重要なキーワードであるオープンソースについて、

オープンソースの本質とは、「何か素晴らしい知的資産の種がネット上に無償で公開されると、世界中の知的リソースがその種の周囲に自発的に結び付くことである」ということと、「モチベーションの高い優秀な才能が自発的に結びついた状態では、司令塔にあたるリーダーシップが中央になくとも、解決すべき課題(たとえそれがどんな難題であれ)に関する情報が共有されるだけで、その課題が次々と解決されていくことがある」ということである。(p. 28.)

オープンソース開発者人口は、全世界で200万人を超えたそうである。

最先端ソフトウェアに関するグローバルでバーチャルな巨大開発組織が、ネット上に生まれてしまったのだ。10年前には影も形もなかった「目に見えない組織」が、開発対象領域をどんどん広めながら、日々進化を続けて大きくなっているのである。(p. 29.)

オープンソースの勢いを語る。そして梅田さんは、次の10年への三大潮流として「インターネット」、「チープ革命」、オープンソースを挙げる。

次いで、「力の芽」というキーワードを交えながら、

私がシリコンバレーや米国のIT産業に知的に惹かれるのは「次の10年」を変える「力の芽」を体現する会社が無から生まれてとてつもなく大きな存在になるからである。(p. 30.)

とも言い、その実例として、例えば、インテルマイクロソフト、アップル、シスコ、アマゾン、ヤフー、グ−グルなどを挙げている。さらに続けて、

「次の10年」を変える「力の芽」を考えるときに私が一つの拠り所としているのは、その「力の芽」が「持てるもの」によって忌避される類のものである一方、「持たざるもの」にとってはもの凄い武器であるときにその「力の芽」は着実に育つ、という判断基準である。(p. 30-31.)

と「力の芽」を体現することこそが、シリコンバレーにおけるエネルギーの源であると見ているのである。

またオープンソースは、 「過激な少数意見」から「時の常識」となりつつあるとし、

オープンソース「過激な少数意見」から「時の常識」となった。従来のソフトウェアの開発の常識からすれば、絶対にありえないやり方、つまりスペックもない、製品計画や製品戦略もない、開発工程管理もリリース計画もないインターネット上のバーチャル大規模開発プロジェクトから、現代で最も複雑な構築物が生みだされ、しかも日々進化するという不思議な事実は、認知されたのである。(p. 33.)

と「力の芽」を体現することこそが、シリコンバレーにおけるエネルギーの源であると見ているのである。


「次の10年への三大潮流」が相乗効果を引き起こし、ネット世界の三大法則が成立したと言う説明を展開する。

その三大法則とは、

  第一法則 : 神の視点からの世界理解
  第二法則 : ネット上に作った人間の分身が金を稼いでくれる新しい経済圏
  第三法則 : (≒無限大)×(≒ゼロ)=something、あるいは、消えて失われて
いったはずの価値の集積である。(p. 34.)

この説明は興味深いもので、p. 35. の図 [ネット世界の三大潮流と三大法則]は、じっくりと眺めてみてください。

さらに、ネットの世界 ――>  「これまで見たことのある何ものにも似ていない
  それは、「不可思議」、「奇妙」、「ミステリー」以外のなにものでもないとも言う。(p. 39.)

その後、サンタフェ研究所のブライアン・アーサーの技術革命史観が、紹介されており、この5つの大革命に区分された説明も興味深いものがある。興味のある方は本文をお読み下さい。

余談になりますが、ブライアン・アーサーといえば連想としてポール・デービッドを思いだします。彼はアーサーとも親しいようで、いわゆる「QWERTYキーボード」が業界標準となった歴史的考察を行い、この分野ではよく知られている人です。ちなみに「QWERTYキーボード」とは我々が現在パソコンのキーボードとしても使っているキーボードの配列のことです。キーボードのアルファベットの上段の左から「QWERTYUIOP」のキーが並べられていることからこのように呼ばれています。

そして本章の最後に、情報革命は産業革命よりも重要な革命であり、「情報そのものに関する革命的変化」である。その代表例プレーヤーがグーグルという会社であると締めくくっている。